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 数年ぶりにイタリアのフェラーリのホームページを訪ねてみた。

Webデザインを仕事とする私にとって、かつてお手本としたデザインのページだ。
 突然ブラウザが真っ赤に染まり、浮き出てくるフェラーリのエンブレム。シンプルで整然と並ぶコンテンツ。5年間変わっていなかった。もちろん5年の間に、控え目に新しい技法を取り入れてはいるが・・・。
 モーターファンなら誰でも憧れる世界のスポーツカー、フェラーリ。卓越した走行性能はもとより、歴史の中で脈々と流れるデザインコンセプト。そのインダストリアル・デザインの頂点で君臨するフェラーリのホームページが、5年間デザイン基調が変わらずにいてくれたことがとても嬉しくなった。

 この5年間のインターネットを巡るメディア界の動き、我々が手にできるハード・ソフトの飛躍的な発展、新しい高速情報インフラの展開。パソコン通信の時代から十数年もネットワークユーザーであり、今インターネットを仕事としている私にとっても予想を遙かに上回る世の中の動きだった。
 はじめはパンフレットを張り付けたようなホームページのデザインも、双方向性を加味した要素を盛り込み、動画やリアルタイム映像もあたりまえになってきた。
 便利に使いやすくなっていくことはありがたい。しかし、なぜかホームページを巡ることが疲れてきたのは私だけだろうか?
 フェラーリのページは私をほっとさせてくれる。人間の感性、美しいと思う心は、メディアの発達、技術の進歩のように本来急変するものではないと感じている。
「昔気質の仕立屋的デザインですね」と先日立ち上げた「ダッシェン」のホームページに感想が寄せられた。賛辞なのか皮肉なのか?でも私は嬉しかった。

アウルネットワーク 松村亮司

2000年 大分合同新聞連載「デジタルの小窓」へ執筆

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