津田紀芳の蔵元レポート


このコ−ナーは私が実際に訪れた蔵元さんを御紹介いたします。

「田村合名と尾込商店」 2012/1/25(第127回)

 11月2日は渡邊酒造場さんと松露酒造さんにお邪魔して、夜は矢野専務親子と会食し、そのまま串間で宿泊しました。翌11月3日は。午後から尾込商店さんにお伺いするようになっていましたので、その前に何とか田村合名さんに顔を出すべく早起きして7時にホテルを出ました。

 鹿屋経由根占・山川フェリーで行くか、東九州道経由で高速を使っていくかで迷いましたが、時間的な制約の少ない高速経由で行くことにしました。(根占経由なら白玉酒造さんに顔を出さない訳にはいきませんので・・)

 ところが、お馬鹿な私は古いナビを信用せずに都城・志布志道路に乗って大回りをしてしまいました。(知らない道はナビを信じましょう反省)結局谷山インターから国道226号線まで降りたら9時になっていました。

 国道沿いのジョイフルで朝食を済ませ、さらに南下します。鰹の水揚げで有名な山川町の田村合名さんに着いたのは10時半でした。祭日なので事務所は閉まっているだろうと思ったら、予想通りお休みでした。仕方なく事務所の向かいにある蔵に行って事情(アポなし訪問)を説明したら、若い藏人さん(名前失念)が一通り案内してくださいました。オマケに帰りには黄金千貫を袋一杯持たせてくれました。

 田村さんの所は、白麹と黒麹がちょうど変わる時期でどちらのもろみも見ることが出来ました。またそれと並行して造っているかめ壺仕込のものもあり、見学するには最高の時期でした。わずかな時間でしたが、すべて見学できたので満足でした。


 次に訪問する尾込商店さんへは午後2時過ぎにお伺いすることになっていましたので、まだ11時過ぎと時間もあるので、色気を出して枕崎までお昼を食べに行くことにしました。ただ、これと行ってアテはなかったのですが、鰹でも食べたいなくらいの気軽な気持ちでしたが、コンビニの駐車場で電話をしていて目についたのは向かいの美味しそうな蕎麦屋さん。かき揚げ丼と蕎麦のセットがとても美味しかったです。

 食事を済ませてもまだ12時と時間の余裕があるものですから、またまた欲を出して「笠沙杜氏の里焼酎造り伝承展示館」(鹿児島の焼酎の杜氏さんは、ほとんど笠沙の出身者)まで行ってみようと国道226号を進みましたが、これが大誤算、とんでもない道でした。距離は30kmちょっと・・なら行ってみようかなって距離でしたが、道路は狭くてアップダウンばかりで、平均速度は30kmくらいしか出せないこれが国道かと言いたくなるような道。何とか1時間半かかって辿り着きました。

 そして「杜氏の里焼酎造り伝承展示館(酒蔵兼資料館)」で実際に仕込んでいる様子を見たり展示物を見たりして帰りました。そしたらなんとそこの杜氏さんは、芋焼酎の造りが終わったら大分に行って米焼酎を造ると聞き、なんか親近感を抱きました。

 帰りは違う道を帰らねば間に合わないと思って、半島の反対側にでる道を選んで行くと何ということでしょう海沿いまで、あっという間に着くではありませんか。こんな事なら最初から大回りして行くべきだったと、またまた反省。国道226号で南さつま市まで行き、川辺の尾込商店さんまで、走った距離は同じくらいのはずなのに1時間もかからずに到着しました。

 午後2時30分に蔵に着くと、蔵で仕事をしていた尾込さんが事務所まで降りてきましたので挨拶をすませ話をさせて貰いました。仕込みもあと少しで終わるのでホッとしているということでしたが、「旬」を選ぶのに悩んでると言っていましたね。そういう苦労もあるんだと意外な気がしました。

 今年の原料芋は、宮崎県や大隅半島の方は不作だったらしいのですが、薩摩半島は若干例年に比べると小さいものの平年作並みに取れたそうです。なので原料不足による減産はなかったそうです。それよりも貯蔵酒が増えすぎたのでわずかですが製造石数を減らしたそうです。

 蔵の中では大きな変更点はなく、従来通りの造りをしていると言うことでした。そこで蒸留したての白麹を舐めさせてもらいましたが、旨いのなんのって。これが「旬」として発売されると思うと興奮してきました。どうも私は黒麹よりも白麹の方が好きなようです。甘みと膨らみのある味わいは白麹の得意とするところです。 旬が季節商品なので、さつま寿以外にアイテムが欲しいとお願いしたら黒麹仕込長期貯蔵の神座(かみくら)を翌月から定番として、出荷してくれるということになりました。お陰様で順調に入荷販売しています。

 まだお話ししたいこともあったのですが、あまり長々と居て、仕事の邪魔をするのも申し訳ないのでそこそこに切り上げて尾込商店を後にしました。



「松露酒造に行く」 2011/12/10(第126回)

 11月2日午後から渡邊酒造場さんにお邪魔して、その足で串間にある松露酒造さんに向かいました。田野町から串間市までは、途中抜け道を通れば1時間ほどで着く予定です。ナビの指示を無視しながら(ナビはウソばかり教えます)昔通った記憶をたよりに車を走らせます。何とか1時間ほどで国道220号線の串間警察署の前まで着きましたので一安心です。

 1時間ちょっとでようやく蔵に着くと、矢野専務をはじめ従業員さん達が、明日の仕込のための準備をしていました。就業時間まで、あまり時間がなかったので、さっそく蔵の中を案内していただきました。

 すでに仕込も後半になっていまして、メインの黄金千貫の仕込は終わり、すでに宮崎紅という紅芋で「松露黒麹」の仕込に入っていました。黒麹仕込みということでもろみは黒く、あまり美味しそうな感じがしないのは私だけでしょうか。ドラム・製麹棚で2日を経て、1次もろみ6日間、2次もろみ8日間で蒸留となりす。その一通りの工程を見て、最後に蒸留中の焼酎を舐めさせてもらいました。う?んトロリとして旨い!!

 その後、貯蔵蔵に・・松露さんは貯蔵酒が多いので、じっくりと熟成させて販売するそうです。特に「松露くろむぎ」などは5年以上の貯蔵酒だそうです。その他芋焼酎でも、約1年ほど寝かせてまろやかになってから出荷するんだそうです。

 1時間ほど見学させていただきまして、後ほどホテルのレストランで会う約束をして、近くの宿「ホテル中村荘」にチェックインしました。お風呂に入ってすこしゆっくりとしていると、すぐに約束の時間になりましたので、下のレストランに降りると、矢野専務と専務の息子さんがすでにお見えになっていました。


 そこで松露のお湯割り(私のお気に入り)を飲みながら美味しい料理をいただき3時間ほど楽しい時間を過ごしました。翌朝、早いこともあり早々に切り上げて、床につきました。

           矢野専務大変お世話になりました。




「渡邊酒造場に行く」 2011/11/25(第125回)

 よし、行こうと思わないと行けないのが隣県でありながら、とっても遠い宮崎県です。今回は萬年の渡邊酒造場さん、松露の松露酒造さん、ここで1泊して、翌日は薩摩乃薫の田村合名さん、さつま寿の尾込商店さんと四蔵を2泊3日で南九州を廻る行程を組みました。

 1日目の走行距離は、渡邊酒造場さん経由で松露酒造さんまでが約320kmです。
しかも高速は一部しか使えませんので、とりあえず渡邊酒造場さんまでは4時間かかると覚悟していました。それで逆算するとお昼一番で伺うためには、余裕をみて8時には家を出ないと行けないのです。それに遅くとも夕方4時頃には松露さんに辿り着くためという制約もあります。

 予定通り11月2日8時に家を出ると、混雑もなく何とか時間通りに行けたので、東九州道の宮崎パーキングで時間調整して午後一番で蔵に着きました。昨年は11月4日に伺いましたので、ちょうど1年ぶりの訪問となります。

 今年の何と言っても一番大きな変化は、ひとまわり違う弟さんが酒屋の修行から帰って来て、一緒に仕事をするようになったことでしょうか。自分が造りたい焼酎もあるそうですが「まずは基本を覚えてから」と専務は厳しい杜氏さんぶりです。

 仕込は9月20日すぎに始まり、11月5日までだそうです。芋が不作で思うように手当が出来なくて、製造量も若干減るそうです。不作=芋が小ぶり=手間が増える=大変だそうです。ただ思ったよりは「タレ(アルコールの収得率)」が良く、若干は製造量の低下を補えるそうだということでした。

 それと本年度より米トレーサビリティーの影響で国産米(熊本産ヒノヒカリ)にシフトした結果、麹の出来が良くなったそうです。(麹を造るのは外米が簡単なのだそうですが、出来た麹は国産米の方が良くなったということでした)

 香りがおだやかなので、そこが気になる所と言っていましたが、もろみの温度は上がらないので管理はしやすくなったそうです。少しだけ蒸留したばかりの黒麹の原酒を飲みましたが、味も乗っていて甘みとやわらかさのバランスが良く、素晴らしい焼酎が出来上がっていました。

 短時間の訪問でしたが、昨年の造りとは何もかも変わっていた仕込でした。時間
の都合で先を急いでいたため早々にお暇しましたが、渡邊専務お世話になりました。



「牟禮鶴酒造へ行く」 2011/11/10(第124回)

 ぶんご銘醸さんにお邪魔したその足で、今度は豊後大野市の「牟禮鶴酒造」さんに伺いました。佐伯市本匠から宇目町を経由して1時間弱でやっと到着です。

 午前中の仕込みは終わっていましたが、午後の出荷作業に追われていました。森専務は秋と春に焼酎の仕込みをして、冬の間は共同瓶詰めの会社に日本酒を造りに行きます。

 チョー真面目な森専務は、何をやるにも一生懸命。その仕事ぶりや人柄を見ても酒質が想像できるように、嘘偽りや不要な装飾のないまっすぐな焼酎を造ります。私たち小売店も安心してお付き合いできる典型的な蔵元さんです。

 仕込みも他と変わったところが特にある訳ではないのですが、一つ一つの仕事を手を抜かず、丁寧に仕込んでいきます。それと彼自身が大分県の酒造組合の中で、利き酒の審査を担当しているということもあり、そちらでもかなり信用できます。

 蔵の中を見せてもらいましたが、まだ2次仕込み2本目ということでしたので、仕込みタンクは2本をのぞき何も入っていませんでしたが、蔵の中には、クエン酸の香りが充満して、正常に醗酵していることがすぐに判りました。1本目のタンクはあと10日もすれば蒸留です。今年の焼酎の出来具合が気になるところですので近々またお伺いするつもりです。

 あとは若手焼酎マイスターの会の反省など、少し話して蔵を後にしました。


 その後、藤居醸造さんにお邪魔したのですが、あいにく藤居社長が税務署の会合とかで出かけてお留守でしたので、藤居社長がいるときにまた出直すことにして、奥さんとお話をして帰ってきました。蔵見学はまたその時でもさせてもらいます。



「ぶんご銘醸へ行く」 2011/10/25(第123回)

 久しぶりに県内の蔵元さんを廻りました。県内と言えどもぶんご銘醸さんなどは当店からすると一番遠い蔵ですので、なかなかお伺いすることが出来ません。蔵は大分県の最南端、佐伯市にあります。ここは宮崎県との県境ですので、当店は県北にありますので、大分県を縦断するような形になります。

 10時過ぎに店を出て高速に乗り佐伯インターまでが1時間半、さらにインターから20分ほどかかります。距離にして約120kmは、福岡(博多)に行く距離と比較すると少し近いものの、時間はほとんど変わりません。

 お昼前に会社に着くと狩生社長が待っていました。今回の「第5回若手焼酎マイスター」の反省点などを話し合い,昨今の情勢についてご意見を聞きました。焼酎ブームが去り、県外での販売は、現状を維持するのも大変な状況なので、県内の販売に力を入れていきたいということでした。そして徐々に県内での認知度とブランド力をアップさせるということです。

 そこで我々販売店も協力して蔵を盛り上げていかないとという気持ちがさらに強くなりました。今その為の作戦を練っているところです。

 蔵の仕込は、前にお伺いした時とさほど変わっていませんでしたが、焼酎の精度を高めようと努力しているようです。この辺りは日本酒蔵を見習って欲しいところでもあります。益々の進化に期待しています。

 この日のうちに3軒廻るため、時間が押していたので早々に引き上げましたが、狩生社長の飄々とした雰囲気は、なかなかお目にかかれないキャラクターです。



「萱島酒類」 2011/6/10(第122回)

 萱島と聞けば、大分県人なら「西の関」とすぐに思い浮かぶはずです。そうあの西の関を醸す萱島酒造さんが、竹田市にあった焼酎蔵を買い取り、その跡地に作った蔵なのです。場所は竹田市の中心部、竹田駅からも500mほどの商店街の中にあります。

 今回お伺いしたのは、2ヶ月に一度大分市内で開催している「豊後麦酎団」の7月の会を担当していただきたく、お願いに伺うのが目的でした。


 竹田市は、私の住んでいる豊後高田市とは、まったく正反対に位置する県内でも最も遠い所になります。高速道路も一部しか使えないので、片道2時間ほどかかります。ほぼ福岡市内に行くのと同じくらいの時間です。


 萱島酒類さんには、事前に電話をしてその旨は伝えていますので、ついでに蔵見学もお願いしました。担当は宮本専務で、以前は大分県酒類卸にいらっしゃったそうで萱島社長に請われて、この会社に入社して、それまで経験したことのない焼酎造りを始めたそうです。

 そうは言っても何の予備知識もなくて、焼酎が造れるはずはありません。当然、県内の蔵元で修行を積んで製造責任者になったということでした。とは言え、決して経験が豊富ではありませんので、二つくり目の今年も手探りの状態が続いたそうです。


 おっとこの藏の焼酎のご紹介を忘れていました。ここ萱島酒類で造られる麦焼酎は「豊後 清明」という一品だけで、その中に20度・25度があるだけという、とてもシンプルな構成です。

 ここの藏の特徴は、米麹・二次仕込みに麦を合わせるというやり方です。この方法は大分的な通常の麦麹・麦二次仕込みとは異なり、壱岐の麦焼酎の造り方に近い造り方です。この方法ですと、米麹由来の甘味のある焼酎が出来ます。

 ただ蒸留の仕方が減圧蒸留なので、常圧蒸留ほど個性が表に出てきません。ですから酒質はやわらかく大人しい(落ち着いた)味わいとなっていますので、20度では、物足りないという方が多いのも頷けます。


 造りもいたってシンプルで、店舗の裏にある蔵は二階が製造場、一階が貯酒場になっています。麹は全自動のドラム式製麹機ですべて造られていますので、二日目に麹を広げる三角棚もありません。それに一次用の小さな仕込みタンク2本と二次仕込み用の大きなタンクが4本あるだけです。そして常圧蒸留も可能な減圧蒸留機これだけが造りに関するすべての機械です。

 宮本専務の説明を聞きながら一通り蔵を見学させていただいた後で、本題の豊後麦酎団について説明し、7月の打ち合わせも終了しました。


 現在、宮本専務と現地雇用の若い人と二人だけでの生産体制です。今後、米麹の特徴を生かした常圧蒸留の商品も開発中ということでした。これからが期待できる非常に楽しみな蔵元さんです。

          宮本専務、大変お世話になりました。




「高嶋酒造」 2011/5/25(第121回)

 5月12日に「醴泉」の勉強会に参加して、名古屋に宿泊した翌13日、蔵元のある沼津市に向かいました。9:28名古屋発、11:16三島着のこだまで行きましたが、こだまは待ち時間が多くて、以外と時間がかかります。

 三島駅には蔵元の高嶋一孝さんが迎えに来ていただきました。駅からは車で20分ほどの道のりで蔵に到着します。ここは東海道五十三次の13番目の宿場町「原宿」があった場所だそうです。しかもその本陣がこの蔵元がある土地にあったそうです。

 その交易が盛んな土地で、元々網元をしていた先祖が酒造りを始めたそうです。酒名の「白隠正宗」は、地元の高名な僧「白隠禅師」から取って命名したということでした。

 事務所に通されて、お話しを聞いていて嬉しくなったのが、一杯で満足するお酒ではなくて、ずっと飲み続けられるお酒を目指しているというのが私の見解と一致しましたし、香りに対する考え方もまさに同じでした。実際お酒を試飲した時も、その考えがお酒に表現されていてとても好感が持てましたので、ぜひお取引をとお願いしました。

 蔵元の高嶋さんは柔道部出身と言うことで、立派な体格をしていますが、見た目と違い繊細な神経を持っている方だとお見受けしました。彼が造るお酒や蔵を案内して貰う時にも設備のあちらこちらにその神経の細やかな部分を感じることが出来ました。

 この藏にお伺いするきっかけとなったのは、友人の酒屋さんの紹介でした。

「駿河には 過ぎたるものが二つある 富士のお山に 原の白隠」と謳われるように白隠正宗もまた、多くの人々に日本酒の心を知っていただきたいという、造り手の熱い思いが込められた酒です。年間 300石という小さな酒蔵ですが、若き社長率いる蔵人全員で、高き志を持って酒造りに挑む期待の新星です。九州初上陸だそうですので、今後ともよろしくお願いいたします。

 帰りは新富士駅まで車で送っていただき、14:13の名古屋行きこだまで、途中り換えて柳ヶ浦まで約6時間、今回はオマケで電車が故障して中津駅で後続の電車
に乗り換えたため、予定より30分以上遅れて20:30ごろ到着しました。遠かった。



「浜嶋酒造編」 2011/4/25(第120回)

  黒木さんの所にお邪魔した翌日の3月19日、いつもの年ならすでに販売している「鷹来屋 特別純米おりがらみ 田染荘オリジナル」が前半の造りでは、納得の出来るお酒が無かったので造り後半にかけていました。浜嶋酒造さんへは、宮崎からの帰り道をちょっと寄り道すれば良い距離なので、あらためて1時間半以上かけて出掛けていくのもどうかと思ったので、浜嶋さんに利き酒出来るお酒は出来上がっていないかと尋ねると「あと2本搾りが残っているけど、良いお酒があがっています」と言うので寄ってみることにしました。

 お伺いすると後半で仕上がった特別純米が6本きき猪口に入って出てきましたこの中から「おりがらみ」にするお酒とタイプの違う「鶸萌黄(ひわもえぎ)」にするお酒を選ぶことにしました。前半のお酒とは打って変わり質の高いお酒ばかり
でしたので、これはこれで選ぶのも大変です。

 大きく分けて2種類の酵母違いのお酒がありました。どちらがどうと言うことはありませんが、一つはシャープな印象でもう一方はやわらかな印象を受けました。それでお酒はおりがらみにすると味の幅が広がるので、シャープな方の酵母のお酒を選びました。

 また鶸萌黄ラベルのお酒はやわらかな印象のお酒を選んでいたので、もう片方の酵母のお酒にしました。それとこのお酒の本質を伝えたくて、この時期でもあえて生酒で詰めて貰うことにしました。生酒ですと管理はとっても大変なのですが、出来立てのお酒本来の味を楽しめるのです。また生酒ならではの変化も楽しめますので、お客さんにとっては別の一面も見ることが出来るお酒です。

 同じ蔵でも酵母が違うだけで、これだけタイプが異なってくるのも面白いなと感じます。(もちろん大きな流れの中にはいるのですが)しかも同じ酒母を2本のンクに分けるのですが、その味がタンクで違いが出ることなど、日本酒は微生物が
醸すお酒なので、まったく同じものが出来ることはあり得ないのです。



「黒木本店さんへ行く」 2011/4/10(第119回)

 去年の11月はじめから、黒木本店さんにアポを取ろうと思って、連絡を入れていましたが、3月になってやっと黒木社長とスケジュールが合ってお伺いすることになりました。

 朝10時に家を出て、速見インターから米良インターまでが高速で、あとはひたすら国道を南下します。延岡からは東九州道で日向まで、再び10号線に戻り高鍋町まで約4時間。疲れました。

 しかも今回はうちの近くのスタンドでガソリンが入らなくなるという情報(ガセネタでしたが)を真に受け、軽自動車なら往復400kmくらいなので無給油で帰られると思ったので、それで行ったものですからけっこう辛かったですわ。


 午後2時に事務所にお伺いすると黒木社長が待っていてくださいました。しばらく雑談したのち、製造場や圃場に出掛けることにしました。見学したのは、本店工場・圃場・廃棄物処理兼肥料製造場・尾鈴山蒸留所を黒木社長が運転する車で、約半日かけてまわりました。

 今回お伺いして一番感動したことは、圃場と施設のの充実振りです。現在芋30町歩、麦17町歩、米5町歩を生産しているそうです。


 ちょうど芋の苗を育てているところでして、ハウスの中にはバイオ苗と種芋の苗が順調に生育していましたが、気になることが一つ、アブラムシが発生しているそうで農薬が使えないので、その駆除に追われていました。

 ハウスの中で育った苗はジョイホワイトと黄金千貫ですが、それを圃場に植え替えるのです。山ねこ用のジョイホワイトは生産量の全量をまかなって、きろくや橘用の黄金千貫もほとんどを自社畑と契約農家だけで賄えるようになったそうです。

 麦はニシノホシを生産し、米はミナミユタカという長粒米を造っていて、この米は麹造りに適しているそうです。農業法人を設立後、圃場を買ったり借りたりしてその生産量は相当増えたようですが、正社員はたった6名だそうです。生産のローテーションを上手に廻せているようでした。


 あと本店工場の女性社員の多さにあらためてビックリしました。酒類のタンク移動をはじめ、瓶詰めラインなどはすべて女性だそうでして、男性はというと仕込みに拘わっている人が数名いらっしゃるようでした。

 相変わらず、数年先を見据えた経営感覚など多いに学ぶべきことがある黒木本店さんです。そして、今回も哲学者「黒木敏之」のパワーをいただきました。


 夜はホテルの隣にある「晩屋」という美味しい料理屋さんで、角上工場長と黒木社長と3人で食事しました。尾鈴山の頂上付近で放し飼いしているという地鶏がとっても美味しかった。ごちそうさまでした。


   それにしても隣県でありながら、宮崎は遠すぎる。・・・なしか?



「開運 土井酒造場」 2011/3/25(第118回)

 名古屋で宿泊した翌3月7日、知り合いの酒販店さんにお邪魔させてもらうべく一路静岡へ・・・夜は、その酒屋さんの案内で静岡の街で一杯飲みました。当然、名所「おでん横町」にも顔を出しました。しかし静岡は大きな街ですね。

 翌8日は、土井酒造場さんのある掛川まで電車で移動して、タクシーで藏まで行きました。午前中にお伺いする約束をしていましたので、午前10時前に藏に到着するといらっしゃらないはずの土井社長が・・なんでも河村先生*)がお見えになって県の鑑評会に出品するお酒を利いていらっしゃるとのこと。・・で、それが終わるのを待っているということでした。

 すぐに藏人の榛葉(しんば)さんを呼んでいただきまして、彼に案内していただきました。榛葉さんは、藏にお勤めして10年ちょっとということでしたが、私ははじめてお会いしました。

 まずは精米所から仕込みの順番に丁寧に説明していただきました。最終工程の槽場ではちょうど最後の大吟醸(全国の鑑評会用)を槽で搾っている最中でして、槽口から垂れている、まさに搾りたてのお酒をラッキーにも利かせていただくことが出来ました。私の判断ですが、香り味わい共、申し分ないものでしたので、今年も金賞受賞間違いないものと確信しました。予想が外れたらごめんなさい。

 土井さんでは使用する酒造好適米のほとんどが山田錦ということもあり、山田錦に関して言えば、プロ中のプロですが、その土井酒造場さんでさえ、今年の造りは米の影響で難しかったそうです。前半は米が割れて融けにくく、メーターだけ切れて(酒の比重が軽い)味が出なかったそうですので、それを修正しながらの酒造りだったそうで中盤以降は通常の状態に持って行けるようになったということでした。

 この辺りの話は、蔵元さんに伺わないとなかなか聞くことの出来ない話なので、大変勉強になります。また酵母のことや新しい酒米の話など、いろいろ聞かせて貰えるので蔵元訪問の必要性を痛切に感じます。


 一通り案内していただき母屋に戻ると、今度は弥一専務と交代して、今年のお酒を利かせていただきました。いずれも非常にレベルの高いお酒で安心してお客様にお薦めできるお酒だと改めて感じました。特に今年はじめて造った「特別純米雄町」は雄町らしさが出ていまして良かったです。残念ながらタンク1本の仕込みと言うことで、すでに完売したらしいです。

 あとは静岡県の酒造好適米「誉冨士」で仕込んだお酒も利かせていただくことが出来ました。このお米は県酒造組合の10数軒で仕込んでいるということでしたが、お米自体の出来の善し悪しがあり、一概に評価できないというお話しでした。

 同時に県の鑑評会用の大吟醸と純米大吟醸も一緒に利かせて貰いましたが、どれも素晴らしい出来映えでした。ただそういうお酒ばかりが集まるところでは、香りがおとなしいだけに「損するな」という印象でした。利き酒とは名ばかりで、電車なので遠慮なしに飲ませていただきました。(だってこういう時以外、大吟醸の斗瓶取りをくらべて飲むことなどありませんから)


 ちょうどお昼になったので、帰りの都合もあり藏をあとにすることにしました。
再び榛葉さんにお願いして掛川駅まで送っていただきました。


     土井社長・弥一専務・榛葉さん大変お世話になりました。


*)河村伝兵衛氏:元・静岡県沼津工業技術支援センター研究技監。静岡酵母の研究開発と、その醸造指導に尽力し、静岡県産酒の品質向上に多大な功績のあった方。

                       次回は「黒木本店」です。



「山忠本家酒造」 2011/3/10(第117回)

 年末年始から天気が良くなく、 今年は体調不良や天候不順で、まったく蔵元に行けていませんでしたが、今回は毎年恒例となっている「山忠本家酒造」さんの利き酒会に出かけてきました。

 3月6(日)朝8:20に家を出て、8:53発のソニックで柳ヶ浦駅から小倉まで行き、9:47発の新幹線に乗り換えて、12:51に名古屋に到着しました。名古屋からは名鉄で30分くらいで、最寄り駅の日比野に着きますので、あとは徒歩で山忠本家酒造さんまで歩きます。結局藏に到着したのは14時前でした(疲れます)

 社長に挨拶をすませて、すぐに槽のある試飲会場に向かいます。すでに何人かの酒屋さんが、杉村杜氏や専務の案内で試飲していました。今回は仕込み本数が少ないこともあり、22BYが11種類、古いお酒は22種類が出されていましたので、一応すべて試飲しました。

 全般的に言えることですが、やはり「特別栽培米」は素晴らしいです。特に熟成すると真価を発揮してきますね。21BYから17BYまで60%と50%がありましたが総じてレベルが高く、価格は高いものの普通の米のお酒を買うよりは価値があると思いました。

 今年は仕込み本数が少なくて、あまり選び甲斐も無かったのですが、米の出来が良くなかったそうなので、高級酒を仕入れる予定も少ないし、ちょうど良いかなと思いました。どの蔵元さんもそうなのでしょうが、高額商品が売れないし米の出来も良くなかったので高級酒の仕込みを減らしているようです。

 出来映えとしては、60%の純米酒と60%特別栽培米は良かったです。ただし70%特別栽培米は、少し時間をおいて飲んだ方が良いと感じました。

 50%以上のお酒に関しては、40%の純米大吟醸特別栽培米を除き、無理に新酒を仕入れずとも古酒を買っても良いなと思っています。


 試飲が終わり、玉泉堂酒造の山田社長にそのままホテルまで送ってもらい、宴会場の名古屋市南区桜台にある「まるはち」にタクシーで向かいました。ここは牛肉を熟成させて販売したり、食べさせることにこだわった肉屋さんで、この日も多くのお客さんで賑わっていました。こういうお肉って「えにし」と良く合うんですよね。

   日本酒も牛肉も「熟成」が大事!!という事が判った食事会でした。


その後、栄に戻り2次会に参加して、最後まで社長にお付き合いいただきました。山田社長・専務・杉村杜氏それと玉泉堂酒造の山田社長大変お世話になりました。

                      次回は開運「土井酒造場」です。



「浜嶋酒造さん 他」 2011/1/10(第116回)

 年末年始から天気が良くなく、久しぶりに大陸の高気圧が張り出して放射冷却で氷点下まで気温が下がった8日に、今年初めての蔵元めぐりと新年の挨拶を兼ねて浜嶋酒造さんと牟禮鶴酒造さん・藤居醸造さんのある豊後大野市まで行ってきました。

 途中の中九州道路では、9時半をまわってるというのにー1?という冷え込みでして、滅多に氷点下まで下がることのない大分市でもー2・5?を記録し、湯布院ではなんとー8・1?と今シーズン一番の冷え込みになったようです。


 まずは浜嶋酒造さんにお邪魔しました。ちょうど正月間に仕込みがなかったため搾りなどは見ることが出来ませんでしたが、今週から連続して4本あがる特別純米の醪を見ることが出来ました。香りからするといい感じですので、かなり期待できます。この4本の中から「おりがらみ」を選択する予定です。4本の上槽が20日過ぎには完了するそうですので、その頃再度伺って利き酒して決めたいと思います。


 藏では昨年11月24日放送の「ためしてガッテン」効果で酒粕の問い合わせが急増して、その対応にてんてこ舞いでした。

 以下番組サイトからのご紹介です。

 「今やあまり食べられなくなった日本の伝統食にスポットをあて、その真価を再発見します!今回の食材は伝統の発酵食品「酒かす」。日本酒の副産物に過ぎないと思ったら大まちがい。いわゆる悪玉のLDLコレステロールの値を下げてくれたり、お通じを改善してくれたり抜群の健康パワーを秘めていたんです。しかも、ビタミンB群やアミノ酸など栄養やうまみの宝庫。」ということです。

 ただ浜嶋酒造さんクラスの酒屋では、1回の搾りでできる酒粕の量が300kg程度と大変少なく(これは旧式の槽で搾るので粕歩合が高いからです)一人3kg買えば100人分しかないのです。私が訪れている時も酒粕の問い合わせや注文が殺到していました。あと2軒豊後大野市内の蔵元を訪問しなければならないので、早々にお暇しました。

 その後、牟禮鶴酒造さん・藤居醸造さんにお邪魔して帰ってきました。


 なお「鷹来屋 浜嶋酒造」さんの酒造りはこちらから。
 http://www.takakiya.co.jp/kuramoto.html



「渡邊酒造場に行く」 2010/11/25(第115回)

 前日の夜は天文館で、ちょうど鹿児島に転勤になったばかりの友人に連絡して付き合って貰い、美味しい料理を堪能した翌日の11月4日、目覚めもスッキリで7時に起床して、ホテルで朝食を取り、高速の通勤割引を使うため早めの8時過ぎにホテルを出ました。

 天文館からですと、鹿児島北インターが近いはずなんですが、ナビは鹿児島インターから載るように指示します。仕方ないのでナビの指示通りに従い鹿児島インターで高速に乗りましたが、あとで地図を見ると遠回りしたようですごく損した気分になりました。普段はナビを使わず地図で移動しますが、今回レンタカーでナビがついていたので、ついつい頼ってしまいました。

 渡邊酒造場のある宮崎市田野町へは、加治木JCTから東九州道路に乗り換え、末吉財部ICまで行き、国道10号線経由で都城まで行って、再度宮崎自動車道に乗り田野ICで降りるのが最短最安です。ちょっと寄り道したので2時間半ほどで蔵に辿り着きました。


 蔵では渡邊幸一朗専務が待っていてくださいました。いろいろ雑談しながら今年の造りの事など伺いました。今年は9月20日過ぎに仕込を開始して11月20日ごろまでの約2ヶ月間と年明けに麦焼酎を少し仕込むということでした。短期間ある程度(400石)の量を造るので大変は大変ですが、おそらくこの程度なら、霧島酒造さんの半日の生産量にも満たないですね。

 それから蔵の中を案内していただきましたが、大きな変更箇所はなく、従来通りということでした。造りの方は、出麹はすでに終わってしまい、1次もろみ2本と2次もろみ数本を残すのみとなっていました。季節的にちょうどいい気温で仕込も順調ということでした。といってもほとんど最後の方でしたが、今年のもろみ本数は全部で20数本になったということでした。

 造りの期間は短いのですが、それ以外に蔵に自前の畑で「大地の夢」を栽培しているので、実際は春から始まり、初冬までですので半年以上拘わることになりますからけっこう大変ですね。

 肝心の無濾過関係の販売計画ですが「無濾過旭萬年 黄金千貫」が12月前半にそして「無濾過旭萬年 大地の夢白麹」が2月頃、「無濾過旭萬年 大地の夢黒麹」は春先に出荷されるようですので、例年より遅くなります。


 お昼近くになったので、隣町の清武町にある蕎麦屋さん「撫の杜」で、美味しいお蕎麦をご馳走になり、蔵をあとにしました。

 その後、清武町にある友人の酒屋さんを訪ねて、午後3時頃清武ICから東九州道蕗で高鍋ICまで行って、そこから国道10号線?国道326号を経由して大分に帰り、レンタカーを返却して自宅まで帰りました。自宅に着いたのは午後8時過ぎでした。ふーっ疲れた。やっぱり宮崎・鹿児島は遠いぞ。

        今回の走行距離2日間で900kmでした。



「尾込商店に行く」 2010/11/10(第114回)

 11月3日、前日のきき酒会で大分に宿泊し、そのまま鹿児島まで一気に突っ走る予定でしたが、2日の夜に大分に向かう途中、愛車イプサムのご機嫌が悪いのこのまま行くととんでもない目に遭いそうなので3日の朝、仕方なくトヨタレンタ
カーで車を借りて出発しました。まぁ200.000kmも走るとガタが出ますよね。

 秋晴れの中をレンタカーは快調に走ります。大分自動車道から鳥栖JCTを経由して九州道へ2時間半ほどで一回目の休憩場所宮原SAです。一息入れて再度走りだし人吉を過ぎて、えびのJCTから鹿児島道へ2回目の休憩を桜島SAで取って鹿児島市内へ指宿スカイラインで川辺ICまで行くつもりが、谷山ICで間違って降りてしまい、仕方なく225号線で川辺に向かいました。

 大分を9時過ぎに出発して、尾込商店さんに着いたのは2時半をまわっていましたので約4時間半の道のりです。距離にして400kmくらいです。祭日なので少しは混雑するだろうと5時間ほどみていましたが、以外にスムースに移動できました。

 これで1000円+310円(指宿スカイライン)は安いですね。しかし途中、覆面パトカーに捕まっている車をたくさん見ました。他に熊本IC先でまさにいま事故ったばかりという大破した車もありました。おそらくその後すぐに混み出したことでしょう。幸い運転手に怪我はないようでした。 

 尾込社長とは3時に約束していましたが、早めに着いたのでそのまま蔵にお邪魔するとちょうどパートさんたちが帰るところでした。数人の方々が車やバイクで帰っていたので、原料処理にはけっこう人数が必要なのだとあらためて感じました芋洗いの機械には明日仕込む分の芋が投入されていましたし、その後使う分の芋も
用意されていました。毎日2トン以上の原料芋を使うそうですので、原料処理も大変ですね。

 事務所で挨拶をすませ、しばらく待っていると尾込社長が蔵から戻ってきました。今年の芋の生育状況など話していると「米トレーサビリティー」の話題になりました。尾込商店さんは前から国産米を麹に使っているので、ほとんど影響はないのですが、困っているのは「タイ米」を使っていたところです。

 決して国産米だから良いという訳ではないのですが、(むしろ麹造りにはタイ米の方が適しています)どうもイメージが悪いので国産米にシフトする蔵が増える様です。麹を作るのも大変だし、何より味が変わるのに大丈夫でしょうか?

  しかし事故米の影響がこんな形で現れるなんて、行政もどうかしてますね。

 その後、蔵を見学させていただいて、今年のさつま寿「旬」になるであろうタンクを覗いて香りを嗅がせてもらいました。それと40年以上使っている、琺瑯製の蒸留器とステンレス製の新しい蒸留器で蒸留した焼酎を比較させてもらいましたが明らかに香りが違います。車を運転するので試飲こそ出来ませんでしたが、これほど蒸留器で違いが出るとは大変驚きました。また新しい蒸留器も改良を重ねることによって、ずいぶん良くなったと聞きましたので今後が楽しみです。

 2時間ほどお邪魔して蔵を後にし、ホテルのある「天文館」に向かいました。
尾込さん、お忙しいところお邪魔してすみません。お世話になりました。

                        次回は<渡邊酒造場>です。



「松瀬酒造に行く」 2010/5/25(第113回)

 3月8日は、前日山忠本家酒造で一緒になった、横浜の君嶋屋酒店さんと一緒に松瀬さんに伺うことになりました。一人旅は退屈なので、話し相手が出来て助かりました。

 9時過ぎに名古屋駅で待ち合わせて新幹線で米原まで行き、そこから東海道線に乗り換えて近江八幡駅に着いたのは10時半を過ぎていました。駅からはタクシーで10分ほどで藏に着きます。


 我々二人とも帰りの時間が決まっていたので、着いて挨拶もそこそこに藏を案内していただきました。今年も特別に変わったところはないようでしたが、何と杜氏の「瀬戸清三郎」さんが奥さんの具合が悪いため、昨年で辞めてしまったそうです。

 で今年は地元採用の人と能登から来た藏人との共同で、杜氏を置かないまま酒造りをしたそうです。結果はほぼ満足のいく造りになったそうです。


 仕込もあとわずか3本ほどを残すのみになっていたため、麹室は最後の留め麹が残っていたくらいでした。醪はまだ数本立っていましたが高級酒はほとんど終わっていました。醪の段階をもっと見たかったので残念です。

 造りで変わったことは、今年から山廃をやめて生もとにしたそうです。後で利き酒して分かりましたが、どちらが良いかは別にして味に厚みがあるように感じました。(今年の分は山廃で出荷していますが)私は生もとの方が好みです。


 その後、事務所の入り口にある部屋で今年のお酒と熟成酒を14種類試飲をさせて貰いました。いずれも素晴らしいお酒でしたが、特に純米吟醸ブルーと山廃純米生原酒(生もと純米)が良かったと思います。最近の傾向で安定感があり、安心してお客さんにお薦めできるのですが、昔のように「今年はこれがすごいです」というのも欲しい気がします。我が儘!!

 いつもなら一人で伺うのですが、今回は他の酒屋さんと一緒ということで、私の目線とはまた違った観点から藏を見ることが出来てとても新鮮でした。わずか1時間半ほどでしたが、中身の濃い訪問になりました。


 昼食は日牟禮八幡宮の近くにあるお堀端の「浜ぐら」で和牛ステーキ重をごちそうになりました。近江牛メチャ旨 オススメですよ〜!!

       松瀬さん、ご馳走さまありがとうございました。



「山忠本家酒造に行く」 2010/5/10(第112回)

 3月6日、静岡の土井酒造場さんにお邪魔した翌日は、愛知県愛西市にある山忠本家酒造さんの新酒&熟成酒の利き酒会です。前日は体調不良で飲まなかったのでこの日は快調です。朝はゆっくりとくつろぎ、ホテルを10時ごろ出て蔵に向かいました。

 ホテルが栄(繁華街)でしたので地下鉄で名古屋駅に行き、そこから名鉄津島線で津島まで行きます。天気がよい日は一つ先の日比野で降りて歩くのですが、あいにくの雨模様なので津島駅からタクシーで行きました。


 蔵の中にある会議室で山田社長に挨拶を済ませてから、藏の中にある試飲会場に行きました。そこでは、すでに数人の酒屋さんが来て試飲をしていました。今回も新酒と熟成酒で出品点数が48種類にも及びます。この中から自分の好みにあったお酒を探す訳なのですが、結構大変な作業です。

 まず新酒の11品種から試飲します。「60%の純米生原酒2本」に始まり「50%の純米原酒火入れ」「60%の純米吟醸原酒火入れ」「70%の特別栽培米生原酒」「60%の特別栽培米生原酒」「50%の純米吟醸生原酒2本」「40%の純米吟醸生原酒2本」「30%の純米吟醸生原酒」で以上の中から5本のタンクを選んで購入しました。(これでも新酒は少なくなりました)

※注釈
この藏では純米と純米吟醸の違いは精米歩合もありますが1500kg仕込は50%精米でも純米、750kg仕込は60%精米でも純米吟醸となり、仕込の大きさが判断基準となっています。

 熟成酒は20BYから11BYまでの精米歩合・仕込容量の違いで37品種が出ていました。こちらはすぐに購入しなくてもおそらく残るだろうと思い、当店定番の17BY60%純米吟醸と17BY60%特別栽培米だけを注文しました。(実際に試飲するとこのBYが味に膨らみがあり、全体的なバランスに優れていました)


 利き酒がすんで夜の懇親会まで時間があったので、知り合いの酒屋さんに津島駅まで乗せて貰い名鉄電車で中心部まで戻って、時間つぶしに愛知県立美術館でたまたま開催されていた「大ローマ展 古代ローマ帝国の遺産」?栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ?を見学してきました。遺跡から発掘された本物の大理石像は見応えもあり感動しました。

 また常設展示場では2月に北九州市立美術館で行われた「ウィーン・ミュージアム所蔵展」でも見られなかったグスタフ・クリムトの「人生は戦いなり(黄金の騎士)」も見ることが出来たので大変満足しました。


 一度ホテルに戻り一休みしてから、今回の懇親会会場の地下鉄で20分ほどかかる焼き肉屋さんまで行っておいしいお肉を堪能しました。焼き肉などは精米歩合の低いお酒やちょっと熟成した物が、食べ合わせ易い感じがしました。焼き肉は日本酒に合わないと思われている方、是非お試し下さい。

 2次会は栄に戻り、いつもの「まほらま」で、日付が変わるくらいまでまた飲みました。

         山田社長・杉村杜氏お世話になりました。

                       <次回は松瀬酒造です>



「土井酒造場に行く」 2010/4/25(第111回)

 まだ春浅い3月6日「開運」の土井酒造場さんにお邪魔するため、早朝家を出ました。土井酒造場さんは静岡県掛川市にあります。最も早いのは東京まで飛行機で行き、新幹線で掛川まで引き返すのがベストだと思うのですが、翌日は山忠本家酒造さんに、更にその次の日は松瀬酒造さんにお伺いするので、一番安くすむ方法として、新幹線の名古屋往復割引チケットを購入しました。

 朝7時前に自宅を出て宇佐駅を7:17分のソニックで小倉駅に向かいます。小倉駅では30分ほどの待ち合わせで、8:47分発ののぞみで名古屋まで、さらにこだまに乗り換えて13:00分にやっと掛川に到着しました。掛川駅からはタクシーで20分ほどで蔵に着きます。家を出てから6時間以上かかりました。

 藏に着くと、すぐに奥の事務所兼自宅に通されて土井社長にご挨拶をして、昨年9月にあった、波瀬杜氏のお別れの会に参加できなかった非礼をお詫びしました。名杜氏を失って土井社長も気のせいか、お元気がなさそうでした。


 湿っぽい話はそこまでにして、「ところで食楽3月号に開運が載っていましね。」と話題を変えて、本来のお酒の話を聞かせていただきました。静岡県もご多分にもれず、やはり日本酒が苦戦しているそうです。ただ静岡県産酒の比率が他県の人が思うほど高くなく、大手のお酒が7割流通しているそうです。

 逆に考えると、まだまだ静岡県のお酒が伸びる可能性はあるようです。その時にお話ししたのは飲食店さんでお燗酒を開運 特別本醸造(1926円)にしていただけると、ぜったい消費者の方々も喜ぶし、消費量も増えるのにという同じ考えを持っていました。

 多くの飲食店さんは、お燗酒に対してあまりにも気を遣わなさすぎます。私の場合大分の飲食店さんには売上を伸ばしたいなら、良いお燗酒を提供するべきですと常々申し上げています。結果売上を伸ばしているお店がほとんどです。

 話がそれましたが、ちょうど搾ったばかりのお酒が数本あったので、それを試飲させていただきました。土井社長はお酒が好きで試飲の時は、決して吐き出さずに全部飲んでしまいます。私はそれを見て、この社長は心から日本酒が好きなんだと尊敬しました。


 その後で蔵の中を案内していただきました。今回の大きな改良点は乾燥した冷涼な空気を送り込む装置です。それをダクトで藏のあちらこちらに送風できるようにしていました。手を当ててみると、当日は雨で湿度が高いにも拘わらず、乾燥した冷たい空気が送られてきていました。それが「もと場」「仕込蔵」「槽場」など至るところに送られてきていました。何とも凄い装置です。

 また大吟醸の仕込藏では順調に醗酵が続いていまして、藏の中には吟醸酒の香りが充満しています。また搾ったばかりのお酒が入った大吟醸のタンクもありましたので、その中から利き酒用に数種類汲んでいただきました。


 藏を見て回った後で事務所に戻ると、先程東京から帰ってきたばかりの土井弥一専務も加わり数日後に迫った静岡県の鑑評会に出すお酒の試飲を一緒にさせていただきました。開運のお酒は、いつもレベルが高くどれもおいしいのですが、さすがに鑑評会に出すお酒と聞くと緊張します。

 とりあえず私も1本選びましたが、それを鑑評会に出したかどうかは分かりません。しかし今年も最高の県知事賞を受賞していました。波瀬杜氏がいなくなって、少し心配していましたが、全く問題なくいいお酒が出来たようです。


 土井社長から「夕食でも」とお誘いをいただきましたが、名古屋に宿を取っていましたし、朝早くから家を出ていましたので、少しでも早くホテルに帰りたかったので、丁重にお断りしました。帰りは掛川駅まで専務の奥様が送って下さいまして17:13分の掛川駅発の新幹線で名古屋まで帰りました。

          土井社長、大変お世話になりました。

                       <次回は山忠本家酒造です>



「島岡酒造に行く」 2010/4/10(第110回)

 2月16日廣木酒造本店を訪問した後、郡山から再び新幹線に乗り、小山で降りて両毛線に乗り換えてJR足利駅へ、徒歩で東武足利市駅まで移動して太田まで、到着したのは午後7時をまわっていました。それからタクシーで宿泊先のホテルへ

 夕方、島岡専務においしい飲み屋さんがないかと連絡を取るものの、連絡が取れず仕方ないのでホテルで聞いたところに行ってみましたが、ぜんぜんよろしくなさそうなので、ブラブラと駅方面まで歩いていると、メニューに群馬泉山廃本醸造のある居酒屋さんを発見したので、そこで晩飯を食べることにしました。

 群馬泉を熱燗で3杯ほど飲んでいると島岡専務より連絡があり、夕方の電話には気がつかなかったということでした。でもせっかくなら太田に来たのならという話になり、8時半を過ぎた頃に合流して島岡専務の車で駅から15分ほど走ったイオンのショッピングモール近くの住宅街にあるお店に・・・ここは群馬県の酒造関係者で評判のお店らしく、皆さん良く訪れるお店だそうです。

 お店の名前は「張海(はりがい)」さん、とっても雰囲気の良いお店で、料理が最高でした。群馬県は海無し県なので魚は期待していませんでしたが、素晴らしく良かったです。何でも茨城県の大洗の方から来るらしく、新鮮でおいしくってビックリしました。島岡専務が持ち込んだ超特撰純米をお燗にしてもらい、しこたま飲んでしまいました。


 翌17日は、二日酔いの状態でホテルからタクシーに乗り蔵にお邪魔しました。社長はあいにく組合の仕事で出かけていらっしゃったのでお会いできませんでしたが、社長の奥さんにはご挨拶することができました。

 しばらく店頭(小売もしていますが、ほとんど知り合いしか来ないような感じ)で昨夜の話の続きをしたりして、時間を過ごさせていただきましたが、帰りの飛行機が午後3時過ぎなので、太田を12時過ぎの特急に乗らないと間に合わなくなるので、早々に蔵を見学させてもらいました。

 すでに甑倒しも終わって醪(もろみ)もあと4本(純米初しぼりと淡緑と純米大吟醸)だけになっていましたが、後半に差しかかっていたので、醪を飲ませて貰うとすでにしっかりとしたお酒になっていました。

 相変わらず造りはオーソドックスでして、ほとんどが総米1500kg仕込に従来通りの酵母で山廃もとで仕込んでいます。火入れも必要以上早くすることもなく、充分味が乗ってから火入れをして、それをタンクで熟成させます。いつ飲んでも変わらない旨さや安定感はここから来るのだと感じました。

 一方すべてが従来通りという訳ではありません。麹室は一時、天幕式の製麹機を導入したものの満足できずに箱麹に戻しましたし、槽も藪田式を導入しましたが、圧力をほとんど加えずポンプ圧だけで送るため充分な粕も出るような搾りをしています。また鑑評会に出品する純米大吟醸(純米部門が出来たため)も小仕込みながら専用の部屋で仕込んでいました。


 また蔵の地下には、一升瓶に詰められた吟醸酒が年代ごとに定温で保管されています。私は昨年その中から14BYの純米大吟醸を特別に出していただきました。

 この藏はすべてが自然体で無理をせずに仕事(酵母の含めて)をしているので、お酒にもそれがよく現れているように思います。とにかく新酒でも良く身体に馴染みます。違和感なく身体に入ってくるお酒ってそれほど多くはないと思います。


 もっとお話しが出来れば良かったのですが、時間も押し迫ってきましたので太田駅まで送っていただき、群馬を後にしました。

            島岡専務お世話になりました。

                       <次回は土井酒造場です>



「廣木酒造本店に行く」 2010/3/25(第109回)

 2月15日楯の川酒造の訪問を終えて、佐藤さんに酒田駅まで送っていただき、15:31発の村上行き普通電車に乗り酒田を後にしました。余目で陸羽西線に乗り換えて、新庄経由で、本日の宿泊地山形に向かいました。

 途中内陸部は雪に覆われ真っ白な風景がひろがっていました。新庄に到着する頃にはだんだんと暗くなり、山形へ18:28に到着した時はもう辺りは真っ暗でした。


 翌16日廣木酒造本店に向かうため、山形駅から山形新幹線つばさで郡山まで行きます。途中の福島までは新幹線といっても普通の特急列車と変わり映えしないと思って乗っていたら、福島駅でMAXやまびこと連結するとやはり新幹線でした。(笑 福島駅からはあっという間に郡山駅に到着です。

 郡山駅でレンタカーを借りて1時間弱で会津坂下に着きます。今までは会津若松インターで降りて30分ほどかけて蔵元まで向かっていましたが、新鶴PAのスマートインターチェンジが使えることが分かり、そこで降りると何と5分くらいで蔵に到着しました。知らないと損する事って多いですね。途中、パトカーに追いかけられびびりながら高速を走りましたが。


 11時半頃に蔵に到着し、座敷に通されてご挨拶を済ませてから、暫く廣木さんと酒質談義で盛り上がりました。面白いのは酒質の違いに感覚的な相違があることでした。もちろん好みは人それぞれですので、私にとっては重くないお酒も、廣木さんにとっては飲み応えのある味だそうです。でもこの感覚の違いをお互い解り合えるのが嬉しかったりもします。この線までは良いけど、ここを超えると・・・・みたいな話ができるんです。

 前々から感じていましたが、私の場合は結構しっかりした造りのお酒が好きなので、淡麗すぎるお酒は受入難いものがあります。その点で他の人と感覚が違うということは私自身も認識していました。

 それと別の話で老香(ひねか)に関することですが、私は歳を取ってきたせいかあまり老香が気にならなくなりましたが、廣木さんはそれに対して凄く敏感だということです。私が気付かないような香りも分かるようです。

 もちろん蔵元として出荷する以上は、老香のあるお酒など出せないというのは、当然なことだと思います。その感覚の鋭さってどこから来るのかな?

 しかしこういう感覚の違いって、お互いが納得した上で話すので、すごく楽しい話になります。ところが今の若い人は蔵に来ても酒質の話をしなくなったと言っていました。こんな話で盛り上がり気がついたら1時間半ほど経っていました。


 時間がないので慌てて蔵に行きましたが、設備に大きな変化はなく、新しい槽をもう1台導入していたのが大きく変わったところでしょうか。昨年も書いたかも分かりませんが、旧式の槽の形はしていますがステンレスで覆われた、コンピューター制御の最新式のものです。無段階に圧力が加えられるため圧搾の際に任せっぱなしで搾れるようになったので相当楽になったと話していました。

 この最新式の槽が2台あることで上槽が無理なく行えるようになったそうです。

 「製造量もだいぶ増えてきたので、10年後を見据えた設備を導入していく」と頼もしい言葉が印象的な今回の訪問でした。帰りに近くの食堂でお蕎麦をご馳走になり蔵を後にしました。ここは普通の食堂ながら蕎麦のレベルがものすごい!! 
           廣木さん、大変お世話になりました。

                       <次回は島岡酒造です>



「楯の川酒造に行く」 2010/3/5(第108回)

 2月15日(月)今回の旅が始まりました。まず朝8時の便で大分空港から羽田空港へ、乗り継ぎの飛行機便が悪く3時間弱待ちで、羽田空港12時ごろ出発して庄内空港には13時ごろ到着しました。

 羽田空港では、あまりにも待ち時間が長いので、全日空第2ターミナルを端から端まで歩いて廻りました。出張中は散歩もできないので、良い運動になりました。私が乗るのが70番ゲートで右端でしたから、左端の50番ゲート(正確には55番辺りが左側先端でした)まで往復して時間を潰しました。外に出して貰えばいろんなショップも見られるのにね。でも59番ゲート付近にカレーショップ発見!!

 楯の川酒造さんとは、お取引を始めて1年近くになりますが、前回はお会いできないまま帰ってしまったので、佐藤淳平さんとお会いするのは今回が初めてです。

 庄内空港には佐藤淳平さんが迎えに来ていただけました。初めてお会いするので特徴を伺うと背が高くて、白い長靴を履いているということでしたので、すぐに判りました。年齢の割に凄くしっかりしているように感じました。

 空港からは、酒田市街地を通らずにわずか30分ほどで、鳥海山の麓の蔵に着きました。事務所に通していただきましたが、若いスタッフさんの気持ちよい応対に社員教育が行き渡っていると感激しました。


 しばらく雑談した後、蔵を見学させて貰いました。決して新しくはないけど綺麗に掃除されていまして清潔感があります。仕込の行程を追って一通り見て回りましたが、お米に対するこだわりがとっても強く、70%のお米は契約栽培ということでした。

 出羽燦々が7割 美山錦を3割くらい使っているそうです。その他にも、当然ながら山田錦や雄町も若干使っているということです。

 契約米は自社指定(楯野川と書いた)の袋に入れて搬入するようにして貰っていまして、お米専用の倉庫もありました。それを100%自社で精米して仕込に使っているそうです。

 さらに洗米機も最新のものを導入して10kgごとに限定吸水させています。麹室は少し狭いようで来期には増築を予定しているということでした。もと場は仕込蔵とは別のところにあり空調設備を入れた部屋でしっかりと管理していました。

 仕込は最大でも1.000kgほどの小さな仕込で、それを半仕舞でこなしていくそうです。槽場は藪田式圧搾機のみでお酒を搾っています。搾ってからは1週間以内で滓引き・火入れをするそうですので、かなり早いです。

 と、まぁ一通り見学させていただいて、だいたいのイメージはつかめました。


 彼の凄いところは、年間雇用を確保するために始めたリキュールの販売が好調で今や経営の柱になりつつあるそうです。そしてリキュール専用の瓶詰めラインも設置してわずか2年半ほどで事業を軌道に乗せたことでしょう。


   短い滞在時間でしたが、酒田駅まで送っていただき庄内を離れました。

           佐藤さん、大変お世話になりました。

                       <次回は廣木酒造本店です>



「亀齢酒造に行く」 2010/2/25(第107回)

 2月1日大谷酒造さんにお伺いしたあとは、何処に行くか決めていませんでした。今シーズンは天気が読めず、お約束をしていてもその通りに行ける保証が無いからです。山口まで戻り、東洋美人の澄川さんに行くか、広島に出て亀齢酒造さんに行くかの判断でしたが、いずれにしても天気次第だったのです。

 大谷酒造さんの訪問を終えて、とりあえず米子自動車道まで戻ってみると午前中にも拘わらず、すでに中国自動車道の広島県内千代田インター付近はチェーン規制で普通タイヤでは通行できません。なので澄川酒造場を諦め、岡山自動車道を経由して広島西条の亀齢酒造さんにお伺いすることにしました。

 途中、雪が降り出したので、慌てて岡山ジャンクションまで降りて、亀齢酒造の営業の上田さんに連絡を取ると、いま広島市内なので午後2時過ぎには会社に戻るということでしたので、2時半頃お伺いする約束をして蔵に向かいました。

 山陽自動車道なら大丈夫だろうとタカをくくっていたら、三原久井辺りでは山陽自動車道の最高地点で標高が500mほどもあり積雪する直前でしたが、なんとか峠を通り過ぎて西条インターの近くまで行くと雪も小降りになり、心配なく運転できるようになりました。

 蔵には2時半過ぎに到着しました。上田さんが待っていまして事務所に通されました。社長にご挨拶してお茶をいただき、早速蔵を案内していただきました。本社の蔵の中を通り過ぎて、ちょっと離れた賀茂鶴さんのはす向かいのところに仕込蔵は建っています。本社からは数十mの距離です。

 ここからは西垣杜氏の案内で蔵を廻ります。まず洗米機を見せていただきました。一昨年お伺いした時に導入されたもので、使い心地はとても良いようです。糠切れがすごく良いので、蒸し米の状態も良くなったということでした。

 次に二階の麹室です。まずは円形の自動製麹機、これは以前普通酒のみに使用していたそうですが、辛口八拾や萬事酒盃中が相当増えてきたことから、これらの麹はこの機械で造るようにしたとのことです。ただこれを使うまでは相当勉強をしたそうです。手造りと遜色ない麹を造れるようにしないと、機械を導入する意味がないという西垣杜氏の信念の元、徹底して研究したそうです。

 そして手造りの麹室、こちらは蔵の規模からすると、これだけの広さは必要ないんじゃないかというくらい広くて、しかも二室に分かれています。何よりも麹造りを重視する西垣杜氏らしく、熱く麹の話を語ってくれました。麹の出来は最後まで影響を及ぼすと。そして「もと場」酒母を造る部屋です。ここで添え仕込みまで行っているそうです。

 それから1階に下りて仕込蔵を見ました。基本的に辛口八拾や萬事酒盃中、普通酒は2.000kgの仕込で、それ以上のクラスは1.200kg以下の仕込となります。この藏の特徴は醪日数が長いということです。辛口八拾クラスでも30日醪は当たり前で長期低温発酵をさせてきれいなお酒を造ろうとしています。吟醸クラスともなれば40日に醪になることも珍しくないようです。

 ここに麹の良し悪しが出てくるそうで、しっかりとした麹を造れば、品音が下がっても毎日0.5位はメーターが切れていくそうです。この辺りに亀齢の秘密が隠さ
れているようです。精米80%程度でも、あれだけきれいなお酒(雑味のない)になるんですね。

 最後に槽場(お酒を搾るところ)で辛口八拾の原酒を試飲しましたが、ブラインドで飲むと、これが80%精米と全く分からないほどんのお酒でした。こんなお酒を1.785円で出すって・・反則じゃないのって思います。

 上田さんに泊まっていけばと言われたのですが、いろんな事情もあり帰ることにしました。午後4時ごろに蔵を出て、家に帰り着いたのは午後8時でした。距離にして330kmやはり広島も遠いです。


 今回は1泊2日の鳥取・広島で往復1200kmほどの運転でしたので、さすがに疲れました。

        上田さん・西垣杜氏大変お世話になりました。


 後日、萬事酒盃中の生酒を送っていただきましたが、これがまた素晴らしい、思わず唸ってしまいました。


                        <次回は楯の川酒造です>



「鷹勇 大谷酒造に行く」 2010/2/10(第106回)

 先日の日曜日、1月31日に鳥取県まで行きました。今回の目的は琴浦町の大谷酒造さんに久しぶりにお伺いする為です。

 日曜日に移動して高速道路1000円の恩恵を受けて米子で宿泊して、翌日に蔵にお伺いする予定で行程を組みました。さらにもう一軒どこかにお伺いしたいので午後からの予定を空けておきました。

 しかしながら鳥取県の遠さには閉口します。ここから米子までは九州道の小倉東インター経由で中国道、更に米子道を通って約550kmの距離でした。朝7時に家を出て米子に着いたのは午後2時でした。ほとんど大阪に行くのと変わりませんね。

 お昼ご飯は、米子に近い境港で「海鮮丼」の食べ歩きをやっているらしく、途中我慢してそちらに向かいましたが、やっと探したお目当てのお店は、お昼の営業が午後2時で終了だったので断念して、大通り沿いにあるお店で食べました。海鮮丼が1050円とまぁ納得できる味とお値段でした。

 その日の夜は皆生温泉で宿泊のみできるというところがあったので、そちらに泊まり、夜は街に出かけてみました。日曜日という事もあり、閉まっているお店が多く残念でした。またホテルから紹介されたお店は一般的な居酒屋という感じでお酒がなさそうだったので違うお店に入りました。

 福島でもそうでしたが、焼酎が圧倒的に売れているようでたくさんの種類を置いていましたが、日本酒はメニューに三種類しかありませんでした。鹿児島・宮崎の話なら理解できますが、日本酒王国の山陰地方であまりの焼酎ブームにビックリしましたし、正直ガッカリしました。

 あまりよさげなお店も見つけられないまま、ホテルに帰ることになりましたが、ホテルに入ってるテナントの居酒屋が鷹勇など置いていまして、けっこう良さそうなのでそこで飲み直しました。ノドグロの干し物が旨かったです。

 残念だったのは温泉で、ホテルのお風呂が大分で言うスーパー銭湯のような感じで一般のお客さんも入ることができるようになっていたのです。ですから温泉成分もほとんど感じず、いかにも循環と分かるように塩素の臭いしかしません。別府を身近に知っている私としてはとても残念な印象でした。(もちろんそのホテルに限った意見ですが)

 翌日は8時にホテルを出て、鳥取西道路の米子インターから名和インターを経由して蔵のある琴浦町を目指しましたが約一時間で到着です。この蔵を訪問するのが10数年ぶりですので、ほとんどまわりの記憶がありませんでした。近くに浦安という駅があったことは覚えていましたので、コンビニで尋ねると国道9号線から少し入ったところでしたので簡単に見つけることができました。

 当日は社長の大谷修子さんと桑崎営業部長さんが待っていて案内していただきました。先代社長の思い出や坂本名誉杜氏のことなど思いだしてお話ししました。今でも坂本名誉杜氏は、たまに蔵にお見えになり指導をしてくれるそうです。

 話もそこそこに早速事務所裏にある蔵に行くと、まず目についたのが30俵張りの精米機が2基座っていました。ちょうど高級酒の精米の真っ最中でした。その横にある仕込蔵に行き階段で2階に上がると右側が原料処理と甑や放冷機が並んでいます。ちょうど蒸し米をあげるところで藏人さんたちが忙しそうに働いていました。

 その奥にもと(酉に元いう字)場がありました。空調で管理する広いもと場す。そして左側には麹室があります。麹室は3部屋「手造り」「機械造り」「枯らし」に別れていまして、2部屋でお酒に合わせた麹を造っているそうです。

 今回「生もと」と「山廃」のもと場は、一番重要な時期なので残念ながら見学することはできませんでした。


 その後、貯蔵蔵の2階の会議室で早速今年のお酒を試飲させていただきました。「大山恵みの里」「純米吟醸中垂れ 蔵の水仕込」「純米吟醸強力 宝喜の水仕込」「純米吟醸強力 蔵の水仕込」の4アイテムでしたが仕込水で、これほど印象が変わるものなのかととてもビックリしました。

 「大山恵みの里」はお隣の大山町で取れた有機米と大山町の名水で仕込んでいます。軟水でとてもやさしい飲み心地です。「純米吟醸中垂れ」は、いつもの鷹勇のしっかりした味わい。「純米吟醸強力」が一番良くわかるのですが、蔵の水で仕込むと強力の特性が良く出るようなしっかりとどっしりした味わい。宝喜の水で仕込んだ方は超軟水のためか、これが強力米かと思うほど優しい味に変わっています。それでも今すぐに飲めるという物ではありませんでしたが。

 この中で、一番早く飲めそうな「大山恵みの里」を特別に「生」で出していただきたいとお願いしました。今までの鷹勇のイメージが変わるような、やさしくほんわかとした味わいのお酒でした。入荷しましたらご案内いたしますので、楽しみにお待ち下さい。

 試飲した後に1階に下りて仕込蔵を見せていただきました。ここで坂本名誉杜氏に案内していただいた記憶が蘇ってきました。10数年も前から山陰というかなり寒い土地にありながら、仕込蔵に冷房設備を導入していることに感激したものでしたが、そこは健在で昔のイメージのままでした。ちょうど2階で蒸された蒸し米が仕込タンクに投入されているところでした。

 さらに新設された大きな冷蔵庫と、昔からあり高級酒が眠る、前回お伺いした時に先代に案内していただいた冷蔵庫を見学して事務所に戻りました。時間にしたら僅かでしたが貴重な体験ができた蔵訪問となりました。冷蔵庫はホント宝の山ですよ!!

  大谷社長・桑崎営業部長、お世話になり大変ありがとうございました。

                        <次回は亀齢酒造です>



「中野酒造」 2010/1/10(第105回)

 以前より、問屋さん経由でお取引はあったのですが、イマイチ乗り気でなかったお蔵さんが、最近お酒が良くなったと判断したので近くでもありますし、久しぶりに遊びに行ってきました。

 蔵元のある杵築市は、当店のある豊後高田市とは隣り合わせで、どぶろく祭りで有名な救大田村を越して、波多方峠をおりれば車で20分ほどの距離になります。

 以前この蔵元さんは、PB商品やパック酒などの安かろう悪かろうのお酒を大量に生産していましたが、6代目の中野淳之さんが帰郷して以来、安酒は止めて生産を特定名称酒と手造りのお酒にシフトしていきました。

 その甲斐あってか、昨年の卸屋さんの展示会に出されていた純米酒は価格が安い割りに、しっかりした味わいがあり好感の持てるお酒でした。それで早速注文しました。その時感じたのは、まだまだ伸びる要素が、たくさんあるなという印象を持ちました。


 この藏には数年前に県内大手卸屋を辞めて、酒造りがしたいと入社した「池田さん」がいます。彼とは問屋時代からお付き合いがあり、また彼のお兄さんが、私と同業の酒屋ということもありまして、何かと良く話す間柄でした。

 彼が入社したときには、すでに大量に作る設備も廃棄していまして、その代わりに別会社の焼酎製造の「みろく酒造」を立ち上げたときでした。こちらは焼酎ブームにも乗り業績も順調なようです。ですから彼は日本酒の製造時期以外は、みろく酒造にて焼酎の製造も担当しています。


 今回お邪魔してみると製造場はコンパクトで、以前あったパック詰めの機械などは片づいていました。仕込は普通酒以外は600kgの小仕込みで、そのほとんど(大吟醸以外)が純米酒という配分になっていました。ちょうど純米吟醸の醪が2本、酵母違いで立てていたのでそれを見る事ができました。非常に良い香りがしていまして期待の持てるお酒になりそうです。

 麹室は仕込蔵の二階にあり、箱麹を30kg単位で盛っていました。ちょっと手狭な感じはしましたが、蔵の規模から考えても、仕方ないかなという感じです。余裕があればもう少し広く取りたいところです。槽場は前杜氏の漆間さんが、東一の勝木部長の弟子と言うこともあり、東一同様プレハブ冷蔵庫で覆われていました。県内では珍しい設備です。


 一通り見学を終えて、池田さんとお話したのは、藏の課題として現在の問屋メインの取引をいかに専門店にシフトしていくかが大きな問題点ですね。と伝えて蔵を後にしました。

           池田さん、お世話になりました。


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